譲渡所得

第0 目次

第1 総論
第2 譲渡所得の特例
第3 特定の居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除

*1 不動産売却の教科書HP「不動産売却した時の確定申告/必要・不要・するべき人の判断基準」が載っています。
*2 国税庁HPに「土地建物以外の資産を売ったとき」(立退料の受領,ゴルフ会員権の譲渡,金地金の売却)が載っています。
*3 租税特別措置法41条の5の2に基づく特定の居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除を利用する場合,売買契約日前日の住宅ローンの残高証明書が必要でありますところ,国税庁HPの「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例の適用に当たっての添付書類一覧」「譲渡資産に係る住宅借入金等の残高証明の依頼書兼証明書」が載っています。

第1 総論

1 自宅を含む土地建物等を譲渡した場合,その値上がり益(=譲渡所得)に所得税及び住民税が課税されます。
   正確には,譲渡所得は,①「収入金額」から②「取得費及び譲渡費用」並びに③「特別控除額」(原則として50万円。)を控除した後の金額です(所得税法33条)。
   その譲渡した土地建物等の所有期間が譲渡した年の1月1日現在で,5年を超える場合は長期譲渡所得として15%の所得税及び5%の住民税が課税され(租税特別措置法31条),5年以下の場合は短期譲渡所得として30%の所得税及び9%の住民税が課税されます(租税特別措置法32条)。

2 譲渡所得に対する課税の趣旨は,資産の値上がりによりその資産の所有者に帰属する増加益を所得として,その資産が所有者の支配を離れて他に移転するのを機会に,これを清算して課税する点にありますから,譲渡所得の発生には,必ずしも当該譲渡が有償であることを要しません(最高裁昭和47年12月26日判決)。

3 資産の譲渡に当たって支出された費用が所得税法33条3項にいう譲渡費用に当たるかどうかは,一般的,抽象的に当該資産を譲渡するために当該費用が必要であるかどうかによって判断するのではなく,現実に行われた資産の譲渡を前提として,客観的に見てその譲渡を実現するために当該費用が必要であったかどうかによって判断されます(最高裁平成18年4月20日判決)。

4 長期譲渡所得の場合,不動産の取得費が不明であれば,収入金額の5%を概算取得費として控除することが認められています(租税特別措置法31条の4,及び昭和46年8月26日付直資4-5ほか2課共同「租税特別措置法(山林所得・譲渡所得関係)の取扱いについて」31の4-1)。

第2 譲渡所得の特例

1 自己の居住用家屋(居住しなくなった日から3年を経過した家屋を含む。)とともに敷地を譲渡した場合,居住用財産の特別控除として3000万円の特別控除が適用されます(所有期間5年以下の短期譲渡の場合を含む。)から,売却した自宅の土地建物が購入時よりも3000万円以上値上がりしていない限り,譲渡所得は発生しません(租税特別措置法35条1項)。
   ただし,①譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用],及び②マイホームを売った日から2か月を経過した後に交付を受けた除票住民票の写し又は住民票の写しと一緒に,翌年3月までに,譲渡所得について所得税の確定申告をする必要があります(租税特別措置法35条2項)。

2 主債務者が自己破産した結果,連帯保証人なり物上保証人なりが自己所有の土地建物を売却し,その売却代金で借金を肩代わりさせられたような場合,譲渡所得は発生しません(所得税法64条2項)。
   ただし,「保証債務の履行のための資産の譲渡に関する計算明細書」と一緒に,翌年3月までに,譲渡所得について所得税の確定申告をする必要があります(所得税法64条3項)。

3 所得税法64条2項が適用されるためには,①納税者が,債権者に対して債務者の債務を保証したこと,②上記の保証債務を履行するために資産を譲渡し,保証債務を履行したこと,及び③上記の保証債務の履行に伴う求償権の全部又は一部を行使することができなくなったことの三つの実体的要件が必要であり,形式上保証債務の履行となっていない場合において、②の要件に該当するためには、実質的にみて保証債務の履行であるということが客観的に明らかであることが必要であると解されています(平成23年2月2日付の国税不服審判所の裁決)。

第3 特定の居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除

1 住宅ローンのあるマイホーム(過去3年以内に退去した場合を含む。)を住宅ローンの債務残高を下回る価額で売却して損失(譲渡損失)が生じたときは,以下の要件を満たすものに限り,その譲渡損失をその年の給与所得や事業所得など他の所得から控除(=損益通算)することができます。
   また,損益通算を行っても控除しきれなかった譲渡損失は,譲渡の年の翌年以後3年内に繰り越して控除(=繰越控除)することができます。
① 平成29年12月31日までに特定譲渡すること。
・ 親族等に対して譲渡した場合,「特定譲渡」に当たりません。
② 売却の年の1月1日における所有期間が5年を超えるマイホーム(譲渡資産)で日本国内にあるものの譲渡であること。
③ 売買契約日の前日において、そのマイホームに係る住宅ローンの残高があること。
・ 契約償還期間が10年以上の割賦償還の方法により返済することとされているものに限ります。
・   保証会社が代位弁済後により取得する求償権は,住宅ローンには当たりません(租税特別措置法41条の5の2第7項4号,租税特別措置法施行令26条の7の2第9項,租税特別措置法施行規則18条の26第4項、同5項等)。
④ マイホームの売却価額が③の住宅ローンの残高を下回っていること。

2 特定の居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除(租税特別措置法41条の5の2)の適用を受けるためには,以下のとおり翌年3月までに確定申告をする必要があります。
① 損益通算の場合
 確定申告書に以下の書類を添付する必要があります。
ア 「特定居住用財産の譲渡損失の金額の明細書(確定申告書付表)」
イ 「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書(租税特別措置法第41条の5の2用)」
ウ 売却したマイホームに関する以下の書類
(ア) 登記事項証明書や売買契約書の写しなどで所有期間が5年を超えることを明らかにするもの
(イ) 売却した日から2か月を経過した後に交付を受けた除票住民票の写し又は住民票の写し
(ウ) 売買契約日の前日におけるそのマイホームの住宅ローンの残高証明書
② 繰越控除の場合
以下の手続が必要です。
ア 損益通算の適用を受けた年分について、上記①のすべての書類の添付がある期限内申告書を提出したこと。
イ 損益通算の適用を受けた年分の翌年分から繰越控除を適用する年分まで連続して確定申告書(損失申告用)を提出すること。

3(1)ア 売却代金から,取得費(例えば,購入代金のほか,仲介手数料,収入印紙,登記費用),建物償却費,譲渡費用(例えば,仲介手数料)等を控除した残額である住宅譲渡損失と,売却代金からローン残高を控除した金額のいずれか少ない方が,適用対象譲渡損失となります(ノムコムHPの「7.2つの住宅譲渡損失の繰越控除の特例」参照)。
イ 譲渡所得の収入金額,取得費及び譲渡費用については,石橋税理士事務所HPの「税金の基礎知識」が参考になります。
(2) 売却代金からローン残高を控除した金額の方が少ない場合,住宅譲渡損失は適用対象譲渡損失とはなりませんから,取得費及び譲渡費用を網羅的に記載する実益はありません。
1(1) 交通事故及び債務整理の初回の面談相談は無料であり,相続情報公開請求等の面談相談は30分3000円(税込み)です。
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3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。