遺留分減殺請求と時効

第1 遺留分減殺請求と消滅時効

□ 遺留分減殺請求権は,被相続人の遺言が有効である場合に行使する権利であって,被相続人の遺言が無効である場合,遺言書が無効であることを前提として遺産分割協議を申し入れる必要があります。
   ただし,遺留分減殺請求権は,遺留分権利者が,相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年以内に行使する必要があります(民法1042条前段)から,被相続人の遺言が無効であると考える場合,予備的に遺留分減殺請求権を行使しておいた方が無難です。
□ 受贈者から贈与の目的物を譲り受けた者に対する遺留分減殺請求権の1年の消滅時効の期間は,遺留分権利者が相続の開始と贈与のあったことを知った時から起算されます(最高裁昭和35年7月19日判決)。

□ 遺留分権利者が民法1031条に基づいて行う減殺請求権は形成権であって,その権利の行使は受贈者または受遺者に対する意思表示によってなせば足り,必ずしも裁判上の請求による要はなく,また一たん,その意思表示がなされた以上,法律上当然に減殺の効力を生じます(最高裁昭和41年7月14日判決)。
□ 遺留分権利者の減殺請求により贈与又は遺贈は遺留分を侵害する限度において失効し受贈者又は受遺者が取得した権利は右の限度で当然に減殺請求をした遺留分権利者に帰属します(最高裁昭和51年8月30日判決。なお,先例として,最高裁昭和35年7月19日判決,最高裁昭和41年7月14日判決,最高裁昭和44年1月28日判決参照)。
□ 遺留分減殺請求に関する消滅時効について特別の定めをした民法1042条にいう「減殺の請求権」は,右の形成権である減殺請求権そのものを指し,右権利行使の効果として生じた法律関係に基づく目的物の返還請求権等をもこれに含ましめて同条所定の特別の消滅時効に服せしめることとしたものではありません(最高裁昭和57年3月4日判決)。
□ 民法1042条にいう「減殺すべき贈与があつたことを知った時」とは,贈与の事実及びこれが減殺できるものであることを知った時と解されています。

   そのため,遺留分権利者が贈与の無効を信じて訴訟上抗争しているような場合は,贈与の事実を知っただけで直ちに減殺できる贈与があつたことまでを知っていたものと断定することはできません(最高裁昭和57年11月12日判決。なお,先例として,大審院昭和13年2月26日判決参照)。

□   被相続人の財産のほとんど全部が贈与されていて遺留分権利者が右事実を認識しているという場合においては,無効の主張について,一応,事実上及び法律上の根拠があって,遺留分権利者が右無効を信じているため遺留分減殺請求権を行使しなかったことがもっともと首肯しうる特段の事情が認められない限り,右贈与が減殺することのできるものであることを知っていたものと推認されます(最高裁昭和57年11月12日判決)。
□ 遺留分権利者が遺留分減殺請求により取得した不動産の所有権又は共有持分権に基づく登記請求権は,時効によって消滅することはありません(最高裁平成7年6月9日判決)。

第2 遺留分減殺請求と取得時効

□ 当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って不動産の贈与をしたときには,贈与の時期のいかんにかかわらず,その減殺請求がされれば,受贈者が取得した権利は遺留分を侵害する限度で遺留分権利者に帰属するに至ります。

   そのため,受贈者が,右贈与に基づき不動産の占有を取得し,民法162条所定の期間,平穏かつ公然にこれを継続していたとしても,そのことは,遺留分権利者への右の権利の帰属を妨げる理由とはなり得ません(最高裁平成9年3月14日判決)。

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