遺言の有効性を確保するための工夫

第1 総論

□ 遺言は,15歳以上の人であれば誰でもできるのであって(民法961条),法律上は,成年被後見人であっても遺言できます(民法962条が遺言について民法9条の適用を排除しているため。ただし,民法973条に基づき医師2人以上の立会が必要です。)。
□ 被相続人が近日中に死亡し,又は判断能力を失うおそれがある場合,とりあえず,ごく簡単な内容の自筆証書遺言を作成し,後日,公正証書遺言を作成した際にこれを撤回する(民法1022条)ということで,遺言書が存在しない状態で被相続人が死亡するという事態を防止するという手段もあります。
    なお,ごく簡単な内容の自筆証書遺言を作成する場合,パソコンは一切使用せずにすべて自筆で,以下の事項を書いて下さい。
① 遺産のすべてを誰に対し,いくらの割合で相続させるか。
→ 相続させる割合が記載されていないと,相続を登記原因とする不動産所有権移転登記ができません。
② 遺言執行者を誰に指定するか。
③ 日付,住所,氏名及び押印
□ 内縁の妻といった特別縁故者は,遺言の有効性について疑義がある場合でも,相続人ではない点でその無効を主張することはできません(最高裁平成6年10月13日判決)。
   そのため,特別縁故者以外に財産を相続させる遺言がある場合,どんなに怪しい遺言でもその有効性を争うことはできません。
□ 死後の相続紛争を生前に片付けておくという観点から,遺言内容を生前に公表することもあります。
   なぜなら,当然のことながら,遺言者の遺言事項を遺言者の生前に法定相続人の全員が納得してくれれば,死後の相続紛争は通常,発生しないからです。

第2 遺言書は,被相続人が正常な判断能力を有するうちに作成しておくことが望ましいこと

□ 被相続人に正常な判断能力がない場合,被相続人の死亡後に,遺言で相続できなかった相続人から,①被相続人の遺言書は被相続人の真意に基づくものではないとか,②特定の相続人が偽造したものであるなどとして無効であると争われる危険が大きいです(差し換えが不可能な公正証書遺言の場合でも争われることがあります。)。
   この場合,数年単位で遺言無効確認訴訟に対する応訴を強いられることになりますし,公正証書遺言の場合,公証人及び証人が裁判の証人尋問に呼び出されるなどして,多大な迷惑を受けることになります。
    そのため,遺言書は,被相続人が正常な判断能力を有するうちに作成しておくことが望ましいです。

第3 遺言に付随して作成した方がいい文書

□ 後日の遺言無効確認訴訟を防止するため,遺言に付随して以下の文書を作成した方がいいです。
① 遺言理由を記載した「付言事項」の追加
→ 特定の相続人が,被相続人に対し,無理に遺言書を書かせたわけではないことを証明するためであり,公正証書遺言で追加できます。
   被相続人が,自分の言葉で,できる限り具体的に,どういう理由で遺産を相続させたかとか,どういう理由で特定の相続人には遺産を相続させないかといったことを書くことが望ましいです。
② 主治医の診断書の作成
→ 被相続人が,どの程度の判断能力がある状態で遺言書を作成したことを証明するためであり,成年後見制度における診断書の書式を利用することをお勧めします。
   公正証書遺言の作成前と作成後の両方の時点で作成することで,公正証書遺言を作成した時点での判断能力の存在を書面で説明できるようにしておくことが望ましいです。
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