共有物分割

第0 目次

第1 共有物の分割方法
第2 共有物分割請求権の法的性質
第3 全面的価格賠償
第4 共有物について遺産共有持分と他の共有持分とが併存する場合の取扱い

* 共有持分そのものを鑑定する場合は,共有持分そのものだと不動産の利用などに制約が生じることから,共有補正といって正常な取引価格から2割程度減少させた金額で算定されるのが通常です(共有物分割請求に強い弁護士HP「持分価格の買取」参照)。

第1 共有物の分割方法

1 不動産を共同相続人の共有取得とした場合,後日,共有を単独所有に変更するためには,共有物分割の手続が必要となります。

2 共有物の分割方法は以下のとおりです。
① 現物分割
② 競売による代金分割(民法258条2項)
→ 共有物分割の訴えにおいて,全面的価格賠償の方法により共有物を分割することの許される特段の事情がない場合,競売による分割が命じられます。
③ 全面的価格賠償(最高裁平成8年10月31日判決)

3(1) 裁判所による共有物の分割は,共有者間に協議が整わないときに請求することができます(民法258条1項)。
(2) 「共有者間に協議が整わないとき」とは,共有者の一部に共有物分割の協議に応ずる意思がないため共有者全員において協議をなしえない場合を含むものであって,必ずしも現実に協議をした上で不調に終った場合に限られるものではありません(最高裁昭和46年6月18日判決。なお,先例として,大審院昭和13年4月30日判決)。

4 民法258条2項の「共有物の現物を分割することができないとき」とは,現物分割が物理的に不可能な場合だけをいうのではなく,社会通念上適正な現物分割が著しく困難な場合をも包みます(最高裁昭和46年6月18日判決)。

5(1) 共有物分割の申立てを受けた裁判所としては,現物分割をするに当たって,持分の価格以上の現物を取得する共有者に当該超過分の対価を支払わせ,過不足の調整をすることができます(最高裁平成9年4月25日判決。なお,先例として,最高裁大法廷昭和62年4月22日判決参照)。
(2)   最高裁大法廷昭和62年4月22日判決は,①森林の共有者は,民法256条1項の規定にかかわらず,その共有に係る森林の分割を請求することができない旨を定めていた森林法186条本文は憲法29条2項に違反すると判示したほか,②最高裁昭和30年5月31日判決及び最高裁昭和45年11月6日判決を変更しています。

6 民法258条2項所定の競売を命ずる判決に基づく不動産競売については,民事執行法59条(売却に伴う権利の消滅等)及び63条(剰余を生ずる見込みのない場合等の措置)が準用されます(最高裁平成24年2月7日決定)。

第2 共有物分割請求権の法的性質

   共有とは,複数の者が目的物を共同して所有することをいい,共有者は各自,それ自体所有権の性質をもつ持分権を有しているにとどまり,共有関係にあるというだけでは,それ以上に相互に特定の目的の下に結合されているとはいえません。
   そして,共有の場合にあっては,持分権が共有の性質上互いに制約し合う関係に立つため,単独所有の場合に比し,物の利用又は改善等において十分配慮されない状態におかれることがあり,また,共有者間に共有物の管理,変更等をめぐって,意見の対立,紛争が生じやすく,いったんかかる意見の対立,紛争が生じたときは,共有物の管理,変更等に障害を来し,物の経済的価値が十分に実現されなくなるという事態となるので,民法256条は,かかる弊害を除去し,共有者に目的物を自由に支配させ,その経済的効用を十分に発揮させるため,各共有者はいつでも共有物の分割を請求することができるものとし,しかも共有者の締結する共有物の不分割契約について期間の制限を設け,不分割契約は右制限を超えては効力を有しないとして,共有者に共有物の分割請求権を保障しています。
   このように,共有物分割請求権は,各共有者に近代市民社会における原則的所有形態である単独所有への移行を可能ならしめ,右のような公益的目的をも果たすものとして発展した権利であり,共有の本質的属性として,持分権の処分の自由とともに,民法において認められるに至ったものです(最高裁大法廷昭和62年4月22日判決)。

第3 全面的価格賠償

   ①当該共有物の性質及び形状,②共有関係の発生原因,③共有者の数及び持分の割合,④共有物の利用状況及び⑤分割された場合の経済的価値,⑥分割方法についての共有者の希望及びその合理性の有無等の事情を総合的に考慮し,当該共有物を共有者のうちの特定の者に取得させるのが相当であると認められ,かつ,その価格が適正に評価され,当該共有物を取得する者に支払能力があって,他の共有者にはその持分の対価を取得させることとしても共有者間の実質的公平を害しないと認められる特段の事情があるときは,共有物を共有者のうちの一人の単独所有又は数人の共有とし,これらの者から他の共有者に対して持分の価格を賠償させる全面的価格賠償の方法による分割をすることも許されます(最高裁平成10年2月27日判決。なお,先例として,最高裁平成8年10月31日判決及び最高裁平成9年4月25日判決参照)。

第4 共有物について遺産共有持分と他の共有持分とが併存する場合の取扱い

最高裁平成25年11月29日判決の裁判要旨は以下のとおりです。
 1 共有物について,遺産共有持分と他の共有持分とが併存する場合,共有者が遺産共有持分と他の共有持分との間の共有関係の解消を求める方法として裁判上採るべき手続は民法258条に基づく共有物分割訴訟であり,共有物分割の判決によって遺産共有持分を有していた者に分与された財産は遺産分割の対象となり,この財産の共有関係の解消については同法907条に基づく遺産分割によるべきである。
2 遺産共有持分と他の共有持分とが併存する共有物について,遺産共有持分を他の共有持分を有する者に取得させ,その価格を賠償させる方法による分割の判決がされた場合には,遺産共有持分を有していた者に支払われる賠償金は,遺産分割によりその帰属が確定されるべきものであり,賠償金の支払を受けた者は,遺産分割がされるまでの間これを保管する義務を負う。
3 裁判所は,遺産共有持分を他の共有持分を有する者に取得させ,その価格を賠償させてその賠償金を遺産分割の対象とする方法による共有物分割の判決をする場合には,その判決において,遺産共有持分を有していた者らが各自において遺産分割がされるまで保管すべき賠償金の範囲を定めた上で,同持分を取得する者に対し,各自の保管すべき範囲に応じた額の賠償金を支払うことを命ずることができる。 
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