遺産である建物の相続開始後の使用等の取扱い

第1 当然に明渡しを請求することはできないこと

□ 共同相続に基づく共有者の一人であって,その持分の価格が共有物の価格の過半数に満たない者(=少数持分権者)は,他の共有者の協議を経ないで当然に共有物を単独で占有する権限を有するものではありません。
   しかし,他のすべての相続人らがその共有持分を合計すると,その価格が共有物の価格の過半数を超えるからといって,共有物を現に占有する前記少数持分権者に対し,当然にその明渡しを請求することができるものではありません(最高裁昭和41年5月19日判決)。
    なぜなら,このような場合,当該少数持分権者は自己の持分によって,共有物を使用収益する権限を有し,これに基づいて共有物を占有するものと認められるからです。
□ 共同相続に基づく共有者は,他の共有者との協議を経ないで当然に共有物を単独で占有する権限を有するものではないものの,自己の持分に基づいて共有物を占有する権原を有するので,他のすべての共有者らは,右の自己の持分に基づいて現に共有物を占有する共有者に対して当然には共有物の明渡しを請求することはできません(最高裁昭和63年5月20日判決。なお,先例として,最高裁昭和41年5月19日判決参照)。
   このことは,共有者の一部の者から共有物を占有使用することを承認された第三者とその余の共有者との関係にも妥当し,共有者の一部の者から共有者の協議に基づかないで共有物を占有使用することを承認された第三者は,その者の占有使用を承認しなかった共有者に対して共有物を排他的に占有する権原を主張することはできないものの,現にする占有がこれを承認した共有者の持分に基づくものと認められる限度で共有物を占有使用する権原を有するので,第三者の占有使用を承認しなかった共有者は右第三者に対して当然には共有物の明渡しを請求することはできません(最高裁昭和63年5月20日判決)。

第2 一定の場合,使用貸借契約関係が存続すること等

□ 共同相続人の一人が相続開始前から被相続人の許諾を得て遺産である建物において被相続人と同居してきたときは,特段の事情のない限り,被相続人と右同居の相続人との間において,被相続人が死亡し相続が開始した後も,遺産分割により右建物の所有関係が最終的に確定するまでの間,引き続き右同居の相続人にこれを無償で使用させる旨の合意があったものと推認されるのであって,被相続人が死亡した場合は,この時から少なくとも遺産分割終了までの間は,被相続人の地位を承継した他の相続人等が貸主となり,右同居の相続人を借主とする右建物の使用貸借契約関係が存続することになります(最高裁平成8年12月17日判決)。
   なぜなら,建物が右同居の相続人の居住の場であり,同人の居住が被相続人の許諾に基づくものであったことからすると,遺産分割までは同居の相続人に建物全部の使用権原を与えて相続開始前と同一の態様における無償による使用を認めることが,被相続人及び同居の相続人の通常の意思に合致するといえるからです。
□ 不動産の共有者は,当該不動産を単独で占有することができる権原がないのにこれを単独で占有している他の共有者に対し,自己の持分割合に応じて占有部分に係わる賃料相当額の不当利得金ないし損害賠償金の支払を請求できます(最高裁平成12年4月7日判決)。
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