相続の方法の種類,法定単純承認及び信用情報の開示請求

第0 目次

第1 相続の方法の種類
第2 法定単純承認
第3 信用情報の開示請求

* 外部HPの「家族が亡くなった時に遺族がやるべき手続きガイド」が参考になります。

第1 相続の方法の種類

1   相続の方法としては,①単純承認,②限定承認及び③相続放棄があります。

2 限定承認及び相続放棄は,自己のために相続があったことを知った時から3ヶ月以内にする必要があります(民法915条1項)。

3 単純承認をした場合,無限に被相続人の権利義務を承継することになります(民法920条。なお,滞納税金につき国税通則法5条1項前段)ところ,被相続人に特に借金なり滞納税金なりがない場合,単純承認をするのが普通です。

4 限定承認をした場合,「相続によって得た財産」の限度で,被相続人の借金なり滞納税金なりを承継することになります(民法922条。なお,滞納税金につき国税通則法5条1項後段)。
   なお,「相続によって得た財産」とは,限定承認をした相続人が,相続によって被相続人から承継した積極財産(遺贈の目的となった財産を含む。民法931条参照)をいいますものの,被相続人を被保険者とする生命保険金で,特定の相続人が保険金受取人に指定されているものは、「相続によって得た財産」に含まれません(国税通則法基本通達第2節第5条関係8)。

5 相続放棄をした場合,被相続人の権利も義務も一切承継しません(民法938条)。
  この場合,自分の子供に代襲相続権が発生することもありません(民法887条2項・889条2項は,代襲原因として,死亡,欠格及び廃除だけを挙げており,相続放棄は挙げていません。)。

6 いったん限定承認又は相続放棄をした場合,事後的に撤回することはできません(民法919条1項)。

第2 法定単純承認

1 以下の場合,相続人が単純承認したとみなされ(法定単純承認,民法921条),限定承認又は相続放棄ができなくなりますから,被相続人に多額の借金がある場合(被相続人が自営業者であった場合,連帯保証債務の存在にも注意して下さい。)は特に注意して下さい。
① 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したこと(1号本文)
→ 例えば,被相続人の定期預金を解約した場合がこれに当たります。
② 3ヶ月以内に限定承認も相続放棄もしなかったこと(2号)
③ 虚偽の財産目録を作成したこと(3号本文)

2 3ヶ月以内に限定承認又は相続放棄をするかどうかを決めることが困難な場合,家庭裁判所に対し,期間伸長の申立てをすることで,3ヶ月の熟慮期間を伸長してもらうことができます(民法915条1項ただし書,家事事件手続法別表第一の89項)。

3 相続人が未成年者又は成年被後見人である場合,3ヶ月の期間制限は,その法定代理人が未成年者又は成年被後見人のために相続の開始があったことを知った時から進行します(民法917条)。

4(1) 相続財産の中から被相続人の葬儀費用を支出することは「相続財産の処分」には当たらいとする裁判例があります(大阪高裁平成14年7月3日決定)。
  また,衣類,収集品,蔵書,趣味の道具といった,故人を偲ぶ,よすがとなる遺品を分配する,いわゆる形見分けも「相続財産の処分」には当たらないとする裁判例があります(東京地裁平成12年3月21日判決参照)。
  さらに,相続人が自己の固有財産をもって,被相続人の相続債務の一部を弁済することは「相続財産の処分」に当たらないとする裁判例があります(福岡高裁宮崎支部平成10年12月22日判決参照)。
(2)   以上の裁判例はいずれも最高裁判例ではないことに注意する必要はあります。

第3 信用情報の開示請求

1 総論
   被相続人に貸金業者からの借金があるかも知れない場合,①被相続人の除籍謄本及び②相続人の戸籍謄本を用意して,信用情報機関に信用情報の開示請求をして下さい。
    被相続人の信用情報を開示してもらえれば,過去に借入経験のある貸金業者も含めて,すべての貸金業者を把握することができますから,相続の方法を選択する際の重要な判断資料となります。

2 信用情報機関の種類
(1) 個人に関する信用情報機関としては,以下の3つがあります。
① 全国銀行個人信用情報センター(略称はKSC)
→ 銀行系の個人信用情報機関です。
② 株式会社シー・アイ・シー(略称はCIC)
→ クレジット会社系の個人信用情報機関です。
③ 株式会社日本信用情報機構(略称はJICC)
→ サラ金系の個人信用情報機関です。
(2) (a)株式会社日本情報センター,(b)株式会社アイネット及び(c)株式会社テラネットの3社は,平成19年12月1日に合併して株式会社テラネットとなりました。
  その後,株式会社テラネットは,平成21年4月1日,(a)商号変更により株式会社日本信用情報機構(略称はJIC)となるとともに,(b)全国信用情報センター連合会(略称はFCBJ又は全情連)加盟の33の情報センター(主な加盟会社は,東京にあった株式会社ジャパンデータバンク,及び大阪にあった株式会社レンダースエクスチェンジでした。)から信用情報事業の譲渡を受けました。
  その後,JICは,平成21年6月23日付で業種縦断型の個人信用情報機関である株式会社シーシービー(略称はCCB)との間で合併契約書を締結し,同年8月1日付でCCBを吸収合併し,それに伴い,略称がJICからJICCに変更になりました。
(3) ①KSC,②CIC及び③JICCは,CRIN(Credit Information Network。クリン)という個人信用情報の交流システムを通じて,お互いに信用情報のやりとりをしています。

3 信用情報の開示手続
(1) 運転免許証等といった写真付の本人確認書類を持参して,信用情報機関の開示窓口を訪問すれば,自分の信用情報の内容について開示を受けることができます。
   なお,郵送による開示請求の場合,必要書類を不備なくそろえるのが大変ですから,KSC以外については,開示窓口を訪問した方が早いです。
(2) 信用情報機関の開示窓口は以下のとおりです。
① CICの場合
CIC近畿支店(〒530-0001 大阪市北区梅田3丁目4番5号 毎日インテシオ5階。電話:06-6346-3168)
② JICCの場合
JICC大阪支店(〒556-0011 大阪市浪速区難波中2-10-70 パークスタワー17階。電話:0120-441-481)
→ 南海電鉄なんば駅の近くにあるなんばパークス内のパークスタワーにあります。
(3) KSCの場合,平成23年8月31日までは,社団法人大阪銀行協会(〒540-0012 大阪市中央区谷町3-3-5。電話:06-6942-1370)の開示窓口を訪問することで,信用情報の開示を請求することができました。
   しかし,平成23年9月1日以降は,「〒100-8216 東京都千代田区丸の内1-3-1 一般社団法人全国銀行協会 全国銀行個人信用情報センター」(電話:0120-540-558)宛に,①登録情報開示請求書(KSCのホームページに書式があります。),②本人確認書類2点(例えば,運転免許証及びパスポート)並びに③1000円分の定額小為替証書(100円の手数料を含めて1,100円を支払えば,郵便局で購入できます。)を郵送することによる開示請求しか認められなくなりました。
(4) 信用情報の開示請求を代理人弁護士に依頼した場合であっても,開示された信用情報は,本人宛に本人限定受取郵便(内国郵便約款137条ないし139条)で送られてきますから,代理人弁護士が受領することはできません。
   また,この場合,所定の書式の委任状に実印を押印した上で,印鑑登録証明書を添付する必要があります。

1(1) 交通事故及び債務整理の初回の面談相談は無料であり,相続情報公開請求等の面談相談は30分3000円(税込み)です。
   交通事故及び債務整理については,無料の電話相談もやっています。
(2) 相談予約の電話番号は「お問い合わせ」に載せています。
  
2 執務時間は原則として平日の午前10時から午後7時30分までですが,事前のご予約があれば,午後8時30分まで夜間相談可能です。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。