遺言の内容に関する注意点

第1 総論

□ 遺言書で帰属先の明記されていない遺産が存在する場合,当該遺産のためだけに遺産分割協議を成立させる必要が生じる(このような遺言を一部遺言といいます。)ことから,そのような事態を防止するため,遺言書には,「その余の遺産は,甲野太郎に相続させる。」という趣旨の文言を必ず入れておくべきです。
□ 銀行なり証券会社なり保険会社なりの取引先(取引支店を含む。)を脱漏した場合,遺言執行者が被相続人の預貯金等の財産を発見できなくなる危険がありますから,遺言を作成するに際し,取引先の脱漏は絶対にないようにしてください。
□ 遺産分割未了の物件(例えば,既に死亡した祖父母などの名義のままの物件)がある場合,その共有持分を相続させる遺言の対象とするのではなく,遺産分割未了の相続分そのものを相続させる遺言の対象とすべきです。
    ちなみに,最高裁平成17年10月11日決定は,共同相続人が取得する遺産の共有持分権は,実体上の権利であって遺産分割の対象となる旨を判示しています。
□ 社会福祉法人等に遺産を寄付(通常は遺贈)したい場合,社会福祉法人等の商業登記簿を事前に確認しておく必要があります。
   また,相手先によっては寄付を受け付けない場合がありますから,事前に相手先に寄付を受け付けるかどうかも確認しておく必要があります。
□ 系譜(例:家系図),祭具(例:仏壇)及び墳墓(=お墓)は相続財産に属しません(民法897条1項本文参照)。
   そのため,これらのものを特定の相続人に引き継がせる場合,別途,その旨を遺言書に記載しておく必要があります(祭祀承継者の指定。民法897条1項ただし書参照)。
□   祭祀承継者の指定がない場合,家庭裁判所が定めることになります(民法897条2項,家事事件手続法別表第二の6項)。
□ 家族に知られていない子どもがいる場合,法律上は,遺言認知することもできます(民法781条2項)。
   しかし,遺言認知をした場合,嫡出子と遺言認知を受けた非嫡出子との間で深刻な遺産争いが発生するのが通常ですから,生前に認知することで,生前に問題を解決しておくことが望ましいです。

第2 予備的遺言

□ 「相続させる」旨の遺言は,当該遺言により遺産を相続させるものとされた推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合には,当該「相続させる」旨の遺言に係る条項と遺言書の他の記載との関係,遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況などから,遺言者が,上記の場合には,当該推定相続人の代襲者その他の者に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情のない限り,その効力を生ずることはありません(最高裁平成23年2月22日判決)。
    つまり,相続させる遺言の場合,相続予定の相続人が被相続人より先に死亡した場合,相続させる遺言の効力は原則としてなくなるということです。
□   相続させる予定の相続人の一人が被相続人よりも先に死亡する可能性があることを重視するのであれば,以下のような予備的遺言をしておくことが望ましいです。
   ただし,公証役場の手数料は,公証人手数料令24条1項の「法律行為の補充」に当たるものとして,0.5倍分,加算されます。
    遺言者は,遺言者の死亡以前に長男の甲が死亡した場合,長男に相続させる予定であった財産を長男の妻乙(昭和○○年○月○日生)に相続させる。
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