調停手続一般

第1 調停手続一般

□ 調停手続というのは,裁判所という第三者に間に入ってもらうことで,話し合いにより紛争を解決する手続です。
□ 平成24年12月31日までに係属した事件については,家事審判法が適用されていました(家事事件手続法附則2条)。
   しかし,平成25年1月1日以降,家事事件手続法が適用されています。
□ 調停手続を担当する調停委員会(民事調停法5条,家事事件手続法247条)は,裁判官1名と調停委員2名の合計3名によって構成されており(民事調停法6条,家事事件手続法248条1項参照),裁判官が指揮します(民事調停規則17条,家事事件手続法259条)。
   ただし,裁判官は同じ時間帯に10件近くの調停事件を担当していますから,実際の調停手続は通常,男女各1名の調停委員(民間の人です。)が担当し,裁判官は通常,調停が終了する段階で出てくるだけです。
□ 民事調停における裁判官は調停主任といわれる(民事調停法6条)のに対し,家事調停における裁判官は単に裁判官といわれます(家事事件手続法248条参照)。
□ 調停委員の職業の内訳は,弁護士が1割余り,弁護士を除く士業が2割余り(会計士,税理士,司法書士等),会社・団体の役員・理事が1割余り,無職者(前職は教師,金融機関,元公務員,専業主婦等)が3割余りです。
□ 民事調停委員及び家事調停委員は,民事調停委員及び家事調停委員規則に基づき,原則として40歳以上の人が任命され(規則1条),その任期は2年です(規則3条)。
□ 調停委員については忌避の制度がありませんから,不公平な調停委員に当たった場合であっても変更してもらうことはできません(民事調停法9条,家事事件手続法16条1項参照)。
    そのため,この場合,調停を不成立にした上で,速やかに家事審判等に移行してもらうことがあります。
□ 調停委員会には裁判所書記官が同席する他,家事調停の場合,親権者の指定(民法819条5項参照)が問題となる事案では,家庭裁判所調査官が同席することがあります(家事事件手続法258条1項・59条参照)。
□ 家庭裁判所調査官というのは,家事事件(例えば,離婚事件)又は少年事件(例えば,少年の非行事件)について,心理学,社会学等を活用して調査を行う国家公務員です。

第2 調停期日

□ 調停期日の場合,依頼した弁護士だけでなく,原則として依頼者本人も出席する必要があります(本人出頭主義。民事事件につき民事調停規則8条1項,家事事件につき家事事件手続法258条1項・51条2項)。
    特に,離婚事件の場合,色々な事情が他の事件の場合以上に問題となりますから,依頼者本人の出席が厳格に要求されます。
□ 手続代理人弁護士が付いている場合であっても,大阪家裁の運用上,なりすましを防止するため,第1回調停期日において本人確認が実施されています。
    そのため,第1回調停期日に出席する際,運転免許証等の本人確認書類を持ってきて下さい。
□ 調停期日の場合は通常,当事者が交互に呼び出されて,調停委員から事情を聞かれます。
□ 調停期日の時間帯には,午前10時00分から午前12時00分まで,午後1時30分から午後3時00分まで,及び午後3時30分から午後5時00分までの三つのパターンがあります。
    そして,例えば,家事調停の期日が午後1時30分からの場合,午後1時30分に申立人を呼び出し,午後2時00分に相手方を呼び出すという風に,呼出時間に時間差を付けることが多いです。
□   指定された時間になると,調停委員が待合室に呼びに来ます。
□ 一回の調停期日の時間は1時間半以内であり,訴訟手続における裁判期日よりも遙かに時間がかかります。
□ 調停委員に事情を聞いてもらう時間に差が生じたとしても,不公平に扱われているわけではありません。
    特に,依頼した弁護士が,調停期日の前に要領を得た書面で裁判所に事情を説明しているにもかかわらず,相手方が,調停期日の前に,何らの書面も裁判所に提出していない場合(相手方に代理人弁護士が付いていても,事前に書面を出してこないことがあります。),調停委員としては,相手方から口頭での説明で事案を理解する必要が生じる結果,相手方から事情を聞く時間が非常に長くなることはよくあることです。
□ 調停期日に無断で欠席した場合,5万円以下の過料に処せられることになっています(民事調停法34条,家事事件手続法258条1項・51条3項)ものの,それでも出てこない人はごく普通にいます。
    そして,相手方が調停期日に出てこなかった場合,調停を成立させることはできません。

第3 調停手続一般に関する注意点

□ 調停手続の場合,相手方の言い分に法律上の理由が全くない場合であっても,相手方が同意しない限り調停を成立させることはできません。
    その関係で,法律上支払う必要がない場合であっても,調停を成立させるために和解金等の名目で一定の金銭を支払うことはごく普通にあることです。
□ 調停手続の場合,依頼者が納得できない調停案を法律上,強制的に押しつけられることはありません。
    ただし,担当の調停委員によっては,足して2で割った調停案を強引に押しつけることで調停の成立を図り,ひいては自分の成績をよくしようとする人がいますから,厳重に注意する必要があります。
□ いったん裁判所に提出した原本は返却してもらえませんから,手元になくては困る原本類は裁判所に提出しないで下さい。
□ 調停期日では,依頼した弁護士が同席しているときでも,本人の言葉で直接話してもらうことで本人の生の気持ちを直接把握したいと調停委員が考えることがあるため,依頼者本人に対して直接,質問をしてくることがあります。
    ただし,依頼した弁護士が適宜,フォローしますから,それほど心配する必要はありません。
□ 家事調停の申立てでは,相手方を無意味に刺激しないよう,感情面は抑制して記載する方が望ましいです。
□ 書面が詳細になると細かい事実に関する反論が繰り広げられて訴訟の前哨戦のようになる結果,調停委員として事件の本質の見立てができにくくなる危険があります。
    そのため,訴訟事件の場合と比べて,調停事件の場合,事実関係の主張はあっさりしたものとすることがあります。
□ いったん調停の手続に入った場合,特段の事情がない限り,依頼した弁護士を通さずに相手方と連絡することは控えた方が無難です。
□ 調停の申立ては,相手方が出頭せず,又は調停が調わないときは,1ヶ月以内に訴えを提起しない限り,時効の中断の効力を生じません(民法151条)。
   ただし,家事調停の場合,①婚姻費用の分担,②子の監護に関する処分,③財産分与,④寄与分,⑤遺産分割といった別表第二の調停事件の場合,調停が調わなければ当然に家事審判に移行します(家事事件手続法272条4項)。
   そのため,家事調停において時効の中断が問題となるのは,離婚慰謝料を請求する場合とか,親族間で貸金の返還を請求するような場合に限られます。
□ 調停事件の待合室については,申立人と相手方が同じ部屋にならないように配慮されています。
   しかし,他の事件の当事者が同じ部屋にいることはごく普通にありますから,あえていえば,病院の待合室みたいな雰囲気です。
□ 裁判所の玄関入口の待合室なり,廊下なりで相手方とばったり出くわすこともありますから,絶対に顔を合わせないという保証はないです。

第4 裁判所による職権調停

□ 裁判所は,職権で,必要な調査を官公庁に嘱託したり,銀行等に対し預金等に関して必要な報告を求めたりすることができます(民事調停規則12条,家事事件手続法62条)。
   しかし,調停手続の場合,通常の訴訟事件の場合と同様,裁判所が職権で相手方の財産を探し出してくれることはない(財産を開示するように促す程度です。)のであって,原則として,自らの手で相手方の財産を探し出す必要があります。
   ただし,相手方が預金口座を持っている銀行名及び支店名を特定した上で,調査嘱託の申立てをした場合,職権で調査嘱託をしてくれることはあります。

第5 調停手続の非公開

□ 調停手続は一般的に非公開であって,裁判所が相当と認める者の傍聴を許可する程度です(民事調停規則10条,家事事件手続法33条ただし書)。
    調停手続の実務上,当事者以外の人間は,調停成立のために相手方に支払う解決金を負担するといった特段の事情がない限りまず傍聴させてもらえません。
    ただし,親族等が家庭裁判所の許可を受けた上で,補佐人として出頭する余地はあります(家事事件手続法27条・民事訴訟法60条)。

第6 民事調停利用者アンケートに関する文書

   平成28年12月1日から平成29年1月31日まで実施されている,平成28年10月31日付の民事調停利用者アンケートに関する文書を掲載しています。
   1頁目は,最高裁判所民事局長の地裁所長に対する連絡文であり,2頁目以降は,最高裁判所民事局第二課長の地裁事務局長に対する連絡分及び取扱要領です。
1 相談予約の電話番号は06-6364-8525であり,交通事故及び債務整理の初回の面談相談は無料であり,相続情報公開請求等の面談相談は30分3000円(税込み)です。
   交通事故及び債務整理については,無料の電話相談もやっています。
  
2 執務時間は原則として平日の午前10時から午後7時30分までですが,事前のご予約があれば,午後8時30分まで夜間相談可能です。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。