遺産分割審判の長期化要因

遺産分割審判の長期化要因

   遺産分割事件の長期化要因としては以下のものがあります(平成21年7月10日公表の迅速化検証報告書参照)。
 
① 前提問題等の関連事件待ち
ア 相続人の範囲が争われる場合
→ 例としては,(a)戸籍上は被相続人の子になっているが真実は被相続人の子ではないという主張がされた場合,及び(b)被相続人の子であるとして認知を求める人が出てきた場合があります。
イ 遺産の範囲が争われる場合
→ 例としては,(a)相続人の名義にはなっているが実際は被相続人の財産であるという主張がされた場合,及び(b)被相続人の名義にはなっているが実際は相続人の固有財産であるという主張がされた場合があります。
ウ 相続分の割合が争われる場合
→ 例としては,法定相続分と異なる相続分を指定した被相続人の遺言が無効であるという主張がされた場合があります。
② 付随問題についての調整
ア 被相続人の葬儀費用を誰がどのように負担するか。
イ 被相続人が死亡する前後で預金が減少している場合に,誰がいかなる理由で預金を持ち出したか。
ウ 遺産の中に他人に賃貸している不動産がある場合,賃料をどのように分配するか。
エ 被相続人の配偶者が老齢の場合,誰が介護するか。
③ 当事者多数
→ 民事訴訟事件では,当事者が3人以上の事件であっても,当事者は原告と被告のいずれかに別れるため,基本的には原告と被告との間の対立関係として把握できます。
   これに対して遺産分割事件では,当事者各人が遺産を取り合う関係にあるため,他のすべての当事者との間で相互に利害が対立する関係にあります。
④ 物件多数
→ 遺産と見える物件の数が増えるほど,被相続人の財産かどうかについて争われる可能性のある対象が増えますから,その分,遺産の範囲が争点となる可能性は高くなります。
   また,不動産,未上場株式といった評価が必要な物件については,評価が争われる場合があるところ,このような物件が多いと,評価に関する争点も増えることになります。
   さらに,物件の評価が必要になれば,鑑定等の作業にも時間を要することになります。
⑤ 特別受益・寄与分についての主張
→ 特別受益又は寄与分について主張するためには,特別受益又は寄与分に当たると考えるやりとりについて具体的な事実を特定したり,特別受益又は寄与分の価額を主張したりする必要があります。
   しかし,被相続人の生前のこのような事実は,相当古いものもあり,また,親族間のやりとりであるため,ほとんどの場合,書面等の客観的な資料が作成されていないことから,関係者の記憶をたどるなどして過去の事実を解明することになり,審理に時間を要することになります。
⑥ 感情的対立
→ 前提問題に関連して,(a)被相続人の非嫡出子が共同相続人の一人である場合,被相続人の配偶者が非嫡出子には財産を渡したくないがために,法律上は相続分が定められているにもかかわらず,之を認めようとしない例,及び(b)共同相続人の一人に有利な遺言がある場合に,同人と仲の悪い他の共同相続人から,十分な根拠もないままとにかく遺言は無効であると主張される例があります。
   また,付随問題に関連する主張がされるのも家族間の不満なり感情的対立なりが背景にある場合が多いです。
   さらに,特別受益なり寄与分なりについても,過去からの兄弟姉妹間での不公平感が積み重なってできた感情的なしこりが背景になって主張される場合が多いです。
□ 家庭裁判所は,家事審判において,①相続人の範囲,②遺産の範囲及び③相続分の割合といった前提問題について判断をした上で遺産分割審判を下すこと自体は可能です。
    しかし,審判手続においてした前提問題に関する判断には既判力(民事訴訟法114条参照)が生じませんから,これを争う当事者は別途,民事訴訟を提起して前提たる権利関係の確定を求めることは可能であって,その結果,判決によって前提たる権利関係の存在が否定されれば,遺産分割審判もその限度において効力を失うことになります(最高裁昭和41年3月2日大法廷判決参照)。
    そのため,前提問題に関する争いが深刻な場合,民事手続での結論が出るのを待つこととなるわけです。
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