寄与分

第1 総論

□ 被相続人の生前に,被相続人に対し,①家業に従事したり,②療養監護をしたり,③扶養したり,④金銭等を出資したり,⑤財産を管理したりするなどして,被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした相続人の具体的相続分は,法定相続分よりも多くなります(寄与分。民法904条の2)。
□ 家業従事型,療養監護型又は扶養型で寄与分が認められるためには,相続人が,被相続人との身分関係上一般的に期待される以上の寄与行為を,原則として無償で,継続的かつフルタイムに準ずる形式で行う必要があります。
    なぜなら,被相続人と相続人との間には扶養義務がある(民法877条)ので,扶養義務の履行以上のことをしない限り寄与分として評価するに値しないとされているからです。
□ 被相続人との身分関係上一般的に期待されるレベルは,①配偶者,②親子,③兄弟姉妹,④一般の親族の順に低くなります。

□ 寄与分における,財産管理型の例としては,相続人が被相続人の財産の管理を行ない,管理費用の支出を免れさせるなどして相続財産の維持に寄与した場合があります。
    この場合,原則として無償で行っていれば寄与分が認められることになります。
□ 寄与分に関する金額をいくらと見積もるかについては明確な基準がありませんから,共同相続人の協議で定めるのは非常に難しく,相続争いの原因の一つになることが非常に多いです。

□ 寄与分が考慮されるのは,昭和55年5月17日法律第51号による改正後の民法が施行された,昭和56年1月1日以降に開始した相続に限られます。

第2 相続人でない限り寄与分が認められないこと

1 長男の妻といった相続人以外の人が介護等でいかに被相続人に貢献したとしても,相続人ではないというだけの理由で,寄与分が認められることはありません。
    そのため,相続人以外の人に対し遺産の一部を渡したい場合,その旨の遺言書を作成するか,その人と養子縁組をする必要があります。

 

2   相続税法上は養子の数に制限があります(相続税法15条2項参照)ものの,民法上は養子の数に制限はありません。

第3 寄与分における,金銭等出資型の具体例

□ 寄与分における,金銭等出資型の具体例は以下のとおりであり,原則として無償で,かつ,相続開始時に金銭等出資の効果が残存している必要があります。
① 共稼ぎの夫婦の一方である夫が夫名義で不動産を取得するに際し,妻が自己の得た収入を提供した場合
② 相続人が被相続人に対し,自己所有の不動産を贈与した場合
③ 相続人が被相続人に対し,自己所有の不動産を無償で使用させた場合
④ 相続人が被相続人に対し,被相続人の家屋の新築,新規事業の開始、借金返済などのため、金銭を贈与した場合

第4 家事審判における寄与分

□ 具体的な寄与分について共同相続人の間で合意が得られなかった場合,家庭裁判所が,遺産分割審判が係属していることを条件として(民法904条の2第4項,家事事件手続法191条2項参照),遺産分割審判と併合して(家事事件手続法192条),家事審判で定めます(民法904条の2第2項,家事事件手続法別表第二の14項)。
    ただし,寄与分は,遺贈,相続させる遺言及び贈与に劣後します(民法904条の2第3項)から,例えば,すべての財産を特定の相続人に相続させる遺言があった場合,寄与分の主張は無理です。
□ 家庭裁判所は,遺産分割審判の手続において,寄与分を定める審判の申立てをすべき期間を定めることができます(家事事件手続法193条1項)。
    また,申立期間が定められなかった場合においても,遺産分割の審理を著しく遅延させると認められ,かつ,申立てが遅滞したことについて申立人の責めに帰すべき事由があるときは,家庭裁判所は,当該寄与分を定める審判の申立てを却下することができます(家事事件手続法193条3項)。
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