特別受益

第1 総論

□ 法定相続分又は指定相続分(=被相続人が遺言で指定した相続分。民法902条1項)に,特別受益及び寄与分による修正をした相続分を具体的相続分といいます。
□ 被相続人の生前に,遺産の前渡しと評価できる程度に多額の贈与を受けている相続人(特別受益者といいます。)の具体的相続分は,法定相続分よりも少なくなります(特別受益。民法903条)。

   特別受益の例としては,①遺贈,②婚姻又は養子縁組のための贈与(例えば,持参金,嫁入り道具,支度金),及び③生計の資本としての贈与(例えば,住宅の購入資金,不動産の贈与,高額な学費,事業の援助資金)がありますものの,単に生活費の援助を受けていたに過ぎない場合,扶養義務(民法877条)を履行してもらっただけですから,特別受益には当□ 具体的相続分を計算する前提となる特別受益財産の価額は,相続開始時の価額によって定まります(民法903条及び904条参照)。

□ 具体的相続分を計算する前提となる特別受益財産の価額は,相続開始時の価額によって定まります(民法903条及び904条参照)。
□ 被相続人が,特別受益に当たる贈与につき,当該贈与に係る財産の価額を相続財産に算入することを要しない旨の意思表示(=持戻し免除の意思表示)をしていた場合,特別受益は具体的相続分の計算には影響しないことになります(民法903条3項)。
□ 民法903条1項は,共同相続人間の実質的公平を図るべく,特別受益がある場合にはその持戻しをすることを原則としているのであって,同条3項の持戻免除の意思表示は例外規定です。
   そのため,被相続人が明示の意思表示をしていないにもかかわらず,持戻免除の黙示的意思表示があることを認定するためには,一般的に,これを是とするに足りるだけの積極的な事情,つまり,当該贈与相当額の利益を他の相続人より多く取得させるだけの合理的な事情があることが必要であると解されています(東京家裁平成12年3月8日審判)。たりません。

第2 死亡保険金の受領は原則として特別受益に該当しないこと

   養老保険契約に基づき保険金受取人とされた相続人が取得する死亡保険金請求権又はこれを行使して取得した死亡保険金は,被保険者が死亡した時に初めて発生するものであり,保険契約者の払い込んだ保険料と等価関係に立つものではなく,被保険者の稼働能力に代わる給付でもないですから,共同相続人の間に著しい不公平が生じる場合でない限り,特別受益には当たりません(最高裁平成16年10月29日判決)。
    つまり,特定の相続人が死亡保険金を受領したとしても,原則として特別受益に該当しないから,具体的相続分の計算には影響を与えないということです。

第3 具体的相続分についてその価額又は割合の確認を求める訴えは許されないこと

   具体的相続分は,遺産分割手続における分配の前提となるべき計算上の価額又はその価額の遺産の総額に対する割合を意味するものであって,それ自体を実体法上の権利関係ということはできませんから,共同相続人間において具体的相続分についてその価額又は割合の確認を求める訴えは,確認の利益を欠くものとして不適法であるとされています(最高裁平成12年2月24日判決)。
    そのため,例えば,特別受益なり寄与分なりの関係で,被相続人の財産の半分が自分の持分であることの確認だけを求めるような訴えは許されないということです。

第4 特定の財産が特別受益財産であることの確認を求める訴えは許されないこと

□ 民法903条は,被相続人が相続開始の時において有した財産の価額に特別受益財産の価額を加えたものを具体的な相続分を算定する上で相続財産とみなすこととしたものであって,これにより,特別受益財産の遺贈又は贈与を受けた共同相続人に特別受益財産を相続財産に持ち戻すべき義務が生ずるものでもなく,また,特別受益財産が相続財産に含まれることになるものでもありません(最高裁平成7年3月7日判決)。
    つまり,持参金なり支度金なりは具体的相続分を計算する際に考慮されるにすぎないのであって,相続が発生した際,相続できる財産が全くない場合があるにしても,現実に相続財産に持ち戻す義務まで生じるわけではありません。
    その関係で,特定の財産が特別受益財産であることの確認を求める訴えは、確認の利益を欠くものとして不適法であるとされています(最高裁平成7年3月7日判決参照)。
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